昨夜、無事大分に帰ってきた。
今朝はさっそく地区の総会。今年は役員が変わる年なのだが、役員がなかなか決まらず、この集落には前例のないローテション型の役員選出の方法をとることが決められた。
しかし、この方法に異議を唱える人、この方法しかないと訴える人、新しい方法を提案する人。。。皆が腕を組みながらこの小さな集落の未来の在り方を真剣に考えていた。誰もが「時間がない」と走り回っているこのご時世、論議することは無駄だと言わんばかりの空気も多少漂っている。自分はと言えば、「そもそも役員はなぜ必要なのか」といわゆるよそ者にありがちな発想を考えたりしていた。これだけの議論が繰り広げられるのも、やはりこの土地につながる原住民的な、言葉にはし難い思いがあるからなのだろう。
昨日まで沖縄県で沖縄本島に次いで大きい島、西表島にいた。
そこで、金星人と出会った。
金星人と言っても、ただの金星人ではない。
金星人と言っても、ただの金星人ではない。
そう、先祖代々西表島で暮らす石垣金星さんだ。
今回の旅においても、西表でいろいろな方を紹介してくださったり、西表の歴史を丁寧に教えて下さったりと、西表のヤマネコに劣らない天然記念物的存在だ。
今回は、金星さんの住む西表島で最も古い集落「祖内」の新年度に向けた役員会の話などを聞かせて頂いた。金星さんいわく、祖内の自治会は役所とは全く関係のない部落会だと言う。物事を決める時は全会一致が原則。一人でも納得のいかない人がいれば、その人の意見を聞き出し、皆で議論する。議論することが完全に文化になっている。そして、役職も必ず推薦されるのだ。立候補はしないのだと言う。そして、推薦の仕方は決して押し付けがましくなく、皆でその人を支援し支え擁立することで推薦される側も気持ちよく胸を張って役職を全うできるのだと言う。
金星さんは祖内地区を「島」と呼ぶ。実際には祖内は西表島の西部に突き出た小さな半島ではあるが、物理的な意味では島ではない。しかし、その言葉通り祖内に行けば島に降り立った時と同じような空気感がそこにある。
時に推薦される人は島の中でも分かれ、小さな派閥のようなものもできると金星さんは楽しげに語った。そうだ、そうだ、政治はこう楽しくなくっちゃいけない。この楽しさはきっと島を守るということにおいては一環して大きなずれがないからこそ生まれるのかもしれない。
尖閣諸島をめぐる中国と日本の関係についても、西表島という場所にいるひとりとして聞いてみた。金星さんはきっぱり言った。あれは日本のものじゃないよ、と。中国のものだと言っているわけではない。国家のものではないということ。
更に付け加えた「西表島はいつの時代もいろいろなものを押し付けられて来た。多くの人は知らないが、嫌な話は絶えずきた。日本軍の通信基地、核のゴミ処理、ベトナム戦争の民間人収容所、リゾートホテルの建設。。。島の聖地なんてお構いなしに破壊する。中国が責めて来たらどうすると言うが、歴史を見ればわかる。沖縄を幾度も侵略してきたのは日本とアメリカだけ。島は中国と何百年も交流が続いている。」
金星さんいわく「島」は大きくても400人〜500人くらいが良いと言う。それ以上になると決めごとは難しい。一票の格差で揺れる国家型民主主義。国の在り方を考える上で、より小さな島型民主主義から学ぶべきことはたくさんありそうだ。
桜が美しい。
もやもやする心を楽にしてくれる。なんともありがたい。
花に手を合わさず、何に手を合わす。
花に手を合わさず、何に手を合わす。